勉強トピックス
高校数学
大学受験へ向けた勉強のはじめ
大学受験へ向けた勉強はいつから始めるべきか?
と考えた場合、始まりの時期よりも目標となる時期から逆算した方が良いかもしれません。
私個人の経験や20年ほどの個別指導の経験から考えると、王道という意味ではなく確実な道という意味での志望校合格へのゴールデンルートのようなものがありそうです。
このゴールデンルートの第一目標は高3の夏休みです。高3の夏休みのできれば始まりから、少なくとも8月のはじめから自分の志望校より若干簡単な問題を出題する大学の過去問演習に入ることにあります。
国公立大志望で科目数が多い場合は、2日で主要科目2回分の演習と共通テストのみの科目1回分の演習。例えば理系で理科選択が物理と化学とすると次のようになります。
数学×2、物理×2、物理×2、英語×2、(国語現代文×2) 主要科目
社会×1、国語古典×1 共通テスト科目
(国語は国立個別試験で課される場合は主要科目として扱い、そうでない場合は共通テスト科目として扱います。
演習に必要な時間(目安)
数学90分×2、物理75分×2、化学75分×2、英語90分×2、現代文60分×2
社会60分×1、国語80分×1
合計 15時間20分/2日 (1日当たり7時間40分)
私立志望の場合は1日で主要かくも2回分です。
数学×2、理科×2、英語×2
演習に必要な時間(目安)
数学90分×2、理科80分×2、英語90分×2
合計8時間40分/日
これらの演習に追加して英単語や化学の暗記などが入り、合計時間は10時間くらいとなるでしょう。
過去問の丸付けと復習の時間を入れていませんが、これがネックなのです。
ここまでで10時間の勉強時間になりますから、結構いっぱいいっぱいだと思います。けれども、復習なしでは演習の意味も半減してしまいます。そのため、復習時間は各科目30分くらいを見積もります。
各科目30分の復習時間というのは短いでしょう。そうです。短いのです。この時間で済むためには、演習で8割くらいの得点が必要でしょう。これに満たない場合は、この半分の量でもよいかもしれません。時間が足りないけれど、8割くらいできる場合は初めは半分の量からスタートしても良いと思います。大学のレベルを下げることも1つの手です。やってみて7割以下であれば、基礎演習に戻るのが得策です。進んでいる科目だけこの演習に入るのも手です。
さて、この演習の目的ですが。全範囲を総合的に、また融合的に扱う力の養成と、本番で必要となるスピード、ミスを防止発見する力と修正する力の養成などにあります。これらは単元ごとの演習や、過去問形式の演習では身につきずらいものです。さらに、身に着けようとするとある程度の密度での演習が必要になります。
このような演習ができる期間が、実は夏休みくらいしかないのです。学校の夏期講習等があれば、この期間も短くなるかもしれません。
この演習の効果ですが、絶大です。
例えば、千葉大から東北大レベルを目指していた高3生の場合
明治大レベルの過去問
数学(試験時間90分)
8月初め 2時間で7割5分 → 9月初め 70分で9割
物理(試験時間90分)
8月初め 90分で7割 → 9月初め 60分で9割
英語(試験時間80分)
8月初め 3時間で8割 → 9月初め 50分で9割
2学期になると気持ちがあせって来ることもあるでしょうし、行事などもあったりして集中した勉強が案外できないものです。そのとき、このくらいの実力になっていると、気持ちに余裕ができ勉強もうまく回ります。そうでない場合は、焦りから勉強が空回りしてしまう人も少なくありません。夏休みの終わりに、どのくらいの実力にいるかで、その後の学習が違った方向に進んでしまい差はどんどん開くこともあります。もちろん実力が足りないとしても2学期以降も冷静に学習を進めれば、間に合います。
このようなゴールデンルートを意識すると、3年の7月いっぱいには、基礎が十分に身についている必要があります。基礎だけで十分です。大学受験は基礎のみで十分です。そもそも応用問題とは、基礎を適用した問題であって、特別な知識を使う問題ではありません。
このようなゴールデンルートを1つのモデルとして、3年の7月末までに基礎を十分に身に着けるとしたら、いつから勉強を始めるか?これは一人ひとり違いますから、現状を把握したうえでスタート時期が考えられます。
ただ。ゴールデンルートで進むのは結構難しかったります。ですから実際はこれをモデルにして、その時その時に応じてサブルートを考えてみたり、時期やその時の実力を考慮して再考して組みなおしてみたりして現実的に実行可能なものへと調整しながら進んでいきます。
大学受験は、高校受験とは比べ物にならないほど学ぶことが多くあります。長丁場になります。適切なルートと、適切な学習、適切な心持ちが大切ですね。
(スクラムnext 田中克典)