数学IIIの積分 部分積分と置換積分 どう使うか分かる学び方

数IIIの積分で、部分積分と置換積分があります。

これらの積分について、よく次のような質問を受けます。

ああ、部分積分だったか

「同じ感じでやっているけど、答えがずれる」

「やり方は分かるし、部分積分を使うとか、置換積分を使うと言われれば、できるけれど、どうやって見分けるかが分からない。」

「解けないなぁ、この積分どうやってやるんだろう?」と思って解答を見ると、部分積分だった!

「部分積分だろうなと思って解いたけど、解答を見たら置換積分だった。」

「部分積分と分かったけれど、解けなかった。」

 

これらの場合、同じ原因のことも多くあります。

 

数学を学ぶとき

「どうして、その技術が必要なのか?」

「その技術の利点は?」

などのことを意識して勉強しているでしょうか?

 

これらを理解していれば、いつ、どんなときにその技術を使うかが分かります。

 

けれども、数IIIの極限、微分、積分では注意が必要です。

そもそも、理屈を扱うのが難しいのです。

 

というのが、これらを扱うために必要な「極限」の理屈が、あいまいなまま、はっきり言えば、半ば感覚に頼って与えられているからです。

数IIIでは「限りなく0に近づける」とか「無限大にする」というとき、これらがどういうことなのかを数式という精密なものを扱えるレベルで学んでいません。無限大については、それが何かも学びません。

なのに、これを扱うのですから大変です。

 

高校の数IIIは、このような状況で学ぶことになりますから「公式が絶対」になります。これ以外の単元では、公式とちょっと違っていても、似ていれば、同じように扱っても大丈夫でした。不安であれば、やってみて確かめることもできました。けれども、数IIIの極限・微分・積分では、根本となる考え方を扱えないのですから、これができません。そのため、公式と全く同じ形で扱う必要がでてきます。

 

こうして、数IIIでは公式を「似ているから同じうに使う」ことで、なぜかうまくいかないことが出てきます。

では、どうやって同じ形にするのか?そこで重要なのが「文字の置き換え」です。文字を置き換えることによって、公式と全く同じ形にすることができます。これが置換積分です。微分では合成関数の微分です。

 

文字を置き換えずに「半分暗算のように」行う人も多くいるように思います。他の単元であれば、それも良かったでしょう。文字を置き換えるのはメンドウだから、文字の置き換えを学んでいても使わない人は多くいます。また、文字の置き換えがどんなときに強力になるのかを学んでいなければ、その利点を理解できていないことが多いでしょうから、ますます使わなくなります。他の単元であれば、それでもどうにかなります。

数IIIでも、ある程度は、文字をわざわざ置き換えなくてもどうにかなります。これが厄介を助長します。

 

置き換えなければ、うまくいかない場合があるのです。置き換えなくてもうまくときと、うまくいかないときで、どんな違いがあるかは、数Iの初めに教わった「文字・次数とその係数への着目」ができれば分かります。

置き換える理由が「全く同じ形でなければ扱えないから」と知っていれば、そもそも置き換えて扱っているでしょう。このような視点で練習を進めれば、どんなとき置換積分を使うかの練習も積まれて、うまく扱えるようになります。この練習は三角関数・指数関数・対数関数の極限、合成関数の微分も同じですから、これらの単元でこの視点を十分にトレーニングできてれば、積分ではそれほど苦戦しないでしょう。

この視点がないまま計算練習を行うと「いつ使うか」の練習がうまくできないまま進むことになります。そして、置き換えが必要な場合を見抜けなくなる。という感じです。

 

部分積分も同じです。ただし、着目点が違います。

部分積分は積の微分を出発点にします。

微分や積分という技術は、数IIのときから、和の形に整理された式に対して扱ってきました。導関数の定義で「差」を使っていますから、元の式が和の形で書かれていることと相性が良いのです。

相性が悪いのは積の形に整理された式です。特別な場合でしか、積の形に整理された式でうまくいくことがありません。けれども、積の形で微分や積分を扱いたい場合もあるでしょう。わざわざ展開して和の形に整理する?それはおっくうだし、かえって見通しが悪くなることもあるでしょう。

そんなときに役に立つのが積の微分です。そして、部分積分です。

部分積分は積の微分と関係があります。これを知っていれば、候補となる式変形が最初から2つあることが分かるでしょう。そのどちらかで、うまくいきます。このとき、どっちがうまくいくかの着目も「文字と次数への着目」です。

また、積の形をした式でも置換積分で扱える場合も、どんな場合かも理解できるでしょう。三角関数・指数関数・対数関数のときに積に見えなくても部分積分を使うことも結び付けられるでしょう。

 

このように、その技術を使う利点や理由を知り、これを解決するように練習を進めることで、うまく扱えるようになります。利点や理由を知らずに練習を進めている場合は、特徴への着目や整理の基準を知らずにやっていることになりますから、いつできるようになるのか、ちょっと怖いですね。

 

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