数学ができる生徒と苦戦する生徒の決定的な違い 覚える編

「覚える」という感覚の違い

個別指導で教えていると、生徒一人ひとりが「どう解き進めているのか」「頭の中でどんなことが起きているのだろうか」ということを、ある程度観察することができます。そして、これにアプローチすることができます。

数学、特に応用問題では、たくさんの練習をしなくてもできるようになる生徒と、勉強しているのになかなかできるようにならない生徒には、特に頭の使い方の習慣に違いがあるように感じます。

この克服が、普通の成績(基本的な計算ができる偏差値50くらい)から最難関(埼玉県内では早稲田本庄や慶應志木など)への実力の第一歩ともいえるでしょう。

今回は「覚え方」の決定的な違い

数学に限らず、勉強が得意な生徒には「きちんと覚えようとしていない」とも言えるような感じがあります。

少し語弊があるかもしれません。

勉強が得意な生徒は「ある程度覚えておいて、使うときに再構成しているように思い出す」という感じです。

勉強が苦手な生徒は「丸暗記して、完ぺきに思い出そうとする」感じです。

特に勉強が得意な生徒が思い出そうとするとき「”とりあえず”こんな感じかな?」と何かを書きだしたあとで「これで大丈夫かな?」と検証するかのようなプロセスが入ります。そして「大丈夫そうだ」と感じれば、今度はこれを足場に次のことも同じく「とりあえず、これを書いておいてみよう」と続きます。「解けるかどうかは、やってみないと分からない」という感じで解き始めるとも言えます。

そして、これを前提に覚えるので、それほど完ぺきな暗記をしていないように思います。数学に限らず、英単語や社会でも。「覚えたところで、やってみないことには、よく分からん」「だから、大体でやってみて、うまくいっていればOK」という感覚があるようです。

ただし「うまくいけばOK」というとき「答えが合っていればOK」とは違い、「説明がつけばOK」という感じである必要があります。単に「答えがあていればOK」という感じでは、中学入学くらいから分からないことが増えてきてしまうでしょう。そして高校生になるころには数学が苦手になっていることとも多いように感じます。

学年が低いうちはまだ「説明」ということは難しいこともありますから、成長するにともなって、理屈が伴えばよいようにも思います。ただし、低学年でも、結構しっかりと説明を伴わせることはできると感じています。

 

これに対して、勉強が苦手な生徒の場合、思い出そうとして「これで解けるはずだ」という感じに思い出せない場合は「分からない」と判断して、解き進めることをしないことが多い。「解ける気がする問題でないと、解かない」という感じだとも言えます。

これを前提に覚えようとするので、なかなか覚えられないように感じるようです。そして、やってみようとしないために、上達や覚えたことの正確性も上がっていなかいようです。

 

そして、そもそも「これで解けるはずだ」と感じに覚えておくことは「何となく」覚えておくよりも難しいでしょう。さらに、問題の難易度が増すほど「これで解けるはずだ」という感じは持てづらくなります。特に”ひらめきを必要とするような問題”ではなく、しっかりとした数学力(数学の基本を適切に使う力)を問うような”複雑な問題”では、この差は大きくなります。

特に複雑さが増す高校2年くらいからは、中学時代に数学に苦労しなかったような人でも数学ができなくなり、中学時代は数学にちょっと苦労したけど数学出来るようになるといったことが起きます。この差は、このような頭の使い方が大きく関係しているように思います。高校受験では最難関の合否を分けるような問題でなければ、それほど複雑化はしません。

 

「解き方を覚えて、同じようにやる」という頭の使い方を、いつ身に着けてしまうのかは分かりませんが、小さい子などを見ていると、幼児の段階で分かれているようにも思います。幼児の段階で「できるだけ同じようにやる」というスタイルと「大体でやってみて、うまくできたらOK」というスタイルが分かれているようにも思えますが、どちらかと言えば「大体でやってみて、うまくできたらOK」の方が多いような気がします。

ただし、小学生になると「同じようにやる」が急に多くなり、小学高学年の頃には「同じようにやる」スタイルが多数派になり、「大体でやってみて、うまくできたらOK」というスタイルの子が少数になるように思います。高学年では「うまくできたらOK」に検証という意識を取り入れ、中学生になるころには理屈を導入し始めるように学習が進めばよいのですが。

このようなことを考えながら教えると、普通の能力の生徒でも、丁寧に数学を使うことで、数学はできるようになるということでもあります。(そして、おそらく他の科目も同じです。)

 

数学の基本というのは「ちょっと書いてみて、検証しながらすすめる」ことを実現するための表現方法です。このように基本を使いながら練習をすすめることで、より強力に使える状態になります。この意味での”基本”は「問題の解き方の知識」とはちょっと違います。

このように基本を使うとき、基本というのは、どのような理解のしかたがあり、どのような説明のし方、表し方があるかを知っていくことになります。中学・高校と学び進めていくことで、精密なことや数えきれないくらい多数のこと、頭で論理的に考えていてはちょっとおいつかないくらい複雑なことも扱えるようになっていきます。しかも一部の天才だけでなく多くの人が扱えるようになります。これが、数学の力ともいえると考えています。ちょっと地頭が良いくらいでは、数学をしっかりと学んだ普通の人に敵わないでしょう。

このように勉強を進めれば、偏差値50くらいでも、基本的な計算ができるのであれば、偏差値70を超えることは、それほど難しいことではないと感じています。猛勉強というほどの勉強の必要もないでしょう。

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