より明確な志願理由に向けて
大学入試で志願理由や小論文、入学後の展望等を書くとき、高校生が普通に授業を受けて得られる視点だけで書けば、大学で学ぶ人として準備不足と見られてしまうことは少なくありません。大学の先生から見て「この学科で学びたいと言っているのに、何も勉強していないな」と感じられてしまうのです。
そのため、大学の推薦入試へ向けた対策として、志望学部学科に関連する論文や書籍を一緒に読んで理解しています。
もちろん、大学で学んだ大学生と同程度の視点で考える必要はありませんが、それでも「志望している」のに、その学科で学ぶことについて、一般的なイメージ程度のことしか知らなかったりすれば、審査する大学の先生からは「本当に学びたいのか?」と疑いたくもなるでしょう。
これに対して、志望先で学べる事などの論文や書籍を読み、少しでも大学で学ぶことと同じ方向性の視点を得て、これを元に志願理由や入学後の展望、小論文などを書くことができれば、本当に学びたいという意思は伝わりやすくなるでしょう。何より、このような準備をしていない他の受験生に比べて一歩も二歩もリードすることになるでしょう。
とはいえ、高校生が一人で読むというのは、難しいものです。そもそも、どの程度理解すればよいのかも、分からないかもしれません。私たちは論文等を一緒に読んで、この準備を進めています。
今回読んだ書籍
今回は、心理学系統の志望者と一緒に、認知行動療法についての書籍を読みました。
心理系の学科を目指す受験生として、大学の先生や心理療法家の方々が、どのような考え方で、どのようにセラピーを行っているのかを知ることが目的です。そのため、具体的な内容の全てを読むのではなく、必要な章の初めの部分をピックアップして概論的に読みます。
内容を理解するベース知識は、やはり入門的な現代評論を読んでいる必要があるでしょう。今回一緒に読んだ生徒は、準備として「ちくま評論入門」や「ちくま科学評論選」等で現代思想に関する評論を読み、議論をしてきましたので、十分なベースがあります。
スクールカンセラーと話したことや、心療内科での面談の経験があると、より分かりやすいくなります。これらの経験を思い出して比較したりすることにより、より具体的にイメージできます。ただの文字の上での理解から、より実感した理解に近づけられます。
この本を読みながら行うことは、主に次の2点です、
1.評論で学んだことを思い出しながら、基本にある考え方の枠組みについて、話し合うこと。
2.認知行動療法の考え方は例を通じて、小・中・高校での先生が行っていたことや、スクールカウンセラー・心療内科での面談で行われていたことが、どのような考えによっていたのかを、話し合いながら理解を進めること。
これらを通して、現代にどのような考え方があり、どのような実際の問題があるかを知り、大学(または大学院)でどのように学び、将来どのようにその学びを活かしたいかのビジョンを組み立てていきます。
このようにして、考えをまとめていくことで、総合選抜入試や推薦入試に向けて、また自分の進路と将来像をより明確にできるようにすることが目的です。